奉曳車
今日は、町内の奉曳車の試し曵きに参加してきました。
奉曳車(ほうえいしゃ)とは、お木曵き車(おきひきぐるま)ともいわれ、
その名の通り、伊勢神宮の式年遷宮に用いられる御用材を、主に運ぶ車のことです。
御用材となる大木を運ぶ車だけあって、車体は、欅(けやき)、車軸は、樫(かし)という、
頑丈にして重い材料を用いており、部材のひとつ、ひとつを組み上げるだけでもひと苦労です。
この役にあたる町々には、各団自慢の奉曳車を持っており、やはり各団、男衆が集まれば、
それを競い合うというのも祭のひとつの華です。
ここでは、何を競いあうかというと、奉曳車では「わん鳴り」が身上とされます。
車輪が動く際に、車軸と車輪が擦れる、ホラ貝を吹いた音のような重厚な音で、
神事の祭にふさわしい堂々たる音を鳴らすよう、長年の経験と勘、職人の腕が試されるところです。
社殿や神棚の扉を開ける際に、木がこすれる音を出すようにするのと同じく、
その音によって、厳かな神事を引き立てるというわけです。
どちらもスムーズに動けばいいというわけではなく、そうした音を粋とするところが、
日本人らしいと申しますか、面白いなと感じながら見ておりました。
今回は、新入りということもあり、こうした調整や段取りは、先輩方にお任せし、
慣れない力仕事をはりきりすぎたせいか、お昼頃には既にへとへとになってしまいましたが、
他では味わえない、大変貴重な経験をさせていただきました。
次の20年後には、こうした力仕事は、年齢的にも体力的にきっと難しそうなので、
まだ少しは体力があるあいだにこのような経験をさせていただく機会を頂き、
関係者の皆様にはこの場を借りて感謝申し上げます。
「明日が、心地いい筋肉痛ですみますように」と思いながらも今日は充実した一日でありました。