お木曵きのはじまり
昨日、伊勢神宮式年遷宮には欠かせないお木曵きに用いられる奉曳車のお話をさせて頂きましたが、
このお木曵き行事の起源について調べてみました。
「お木曵き(おきひき)」の始まりというのは、戦国時代末期にまで、さかのぼるそうです。
当時の戦乱により、式年遷宮が、一時途絶えていた時期があり、
そこから庶民を含めた勧進によって復興されると、はるか遠い存在であった伊勢神宮が、
これまでより、庶民にとっても、ぐっと身近な存在になる。
式年遷宮に必要な御用材、一万本以上の木を、当時はもちろんトラックなどあるはずもなく、
すべて人の手で、運び込まなくてはなりません。
中には、今では一本で豪邸が建つ程の樹齢二百から三百年という木曾檜の巨木も含まれております。
乾いてしまい、割れが生じたりしたら大変なことになります。
神領民は、もともと傭兵ならぬ、傭役のかたちで、この仕事に従事していたそうですが、
これには、大変な経費と労力が必要となります。
世は、式年遷宮をどうにか復活させようと勧進に勤しむ時代。
せめて地元、神宮さんのお役に立つべく、労力で奉仕するという敬神の心から、
このお木曵き行事が始まったということです。