旅の経験
先日、拝見したニュースのなかで、今の20代の海外旅行の選択肢として、
『パック旅行』の利用が多くを占めるというデータが出ており、
その理由の一番は、「損をしたくない」ということでした。
それが、ニュースになるということは、やはり、今までの世代の傾向と違い、
「ゆとり教育」が招いたツケといいましょうか、少し、おとなしいというか、
将来の夢が公務員という傾向と似たようなものがある気がいたします。
決して、「パック旅行」や「公務員希望」を否定するわけではありませんが、
今後の日本を背負う世代として、少し淋しい気がすることは、否めません。
私も、学生時代には、格安航空券と、なけなしのお金、リュック一つを背負って、
一ヶ月間、ヨーロッパを旅程を立てずに、廻った経験がありますが、
そこで、得た経験は、今でもかけがえのない財産となっております。
想像のなかでは、華やかで憧れであった大都市パリも、
すごく人間味あふれる下町のような街だと感じることが出来たことなど、
短い間ながら、それぞれの国、街の文化を肌で触れ、パンフレットには載っていない生活の一旦を
垣間見ることができたことは、観光名所だけでは経験できない旅の醍醐味のひとつです。
また、外に出てはじめてわかる日本の良さなども、自ずと頭を過ります。
単なる欧米文化、「洋風」なものへの憧れではなくなり、
その国のもつ、独自の文化や、そこで、精一杯暮らす人々のお金には換えられない豊かさなど、
今までの価値観を大きく揺さぶられたと申しましょうか、
「生きる」上で大切な、言葉には言い表せない何か一片を、得ることが出来ました。
その経験をひとつの糧に今では、日本独自の文化のひとつでもある「神棚」を発信していく仕事に就き、
誇りをもって、日々、従事させていただいております。
偉そうに云う程のことではありませんが、感受性のつよい、若い頃にしか出来ない経験を一つでも多く積むことが、
その後の人生で、必ず役に立ちます。「損得」を、どう捉えるかは人それぞれですが、
長いスパンで考えれば、旅に出て、私はずいぶんと「得」をしたと今では思っております。